2017,06,15, Thursday
「こんなに交際費使っちゃったら税務署から睨まれますかねぇ・・・」顧問先の社長さんとの間でこんな会話があったとします。
この会話での「税務署に睨まれる」ということの本当の意味はどういうことなのでしょうか。きっと税務調査が入って、その行き過ぎた交際費支出が否認されるといったところなのでしょうが、そこまで行き着く過程はもっと奥の深いものであったりします。
そもそも課税庁側が否認をするには何らかの根拠をもって否認することになりますが、その根拠というのは国税庁通達であることが一般的なのでしょう。ただし、国税庁通達は納税者を拘束するものではないことから、納税者側としてはそれに対して反論をしていくことになるのですが、その時の反論根拠は場合によっては国税庁通達における解釈の相違や過去における判例、裁決事例などを反論根拠としていくことになるのでしょう。
ここで税務における判決と裁決の違いについて簡単に説明しますと「判決」とは裁判所としての税法解釈であり「裁決」とは国税不服審判所が示した税法解釈なのです。
上記のように税法解釈の相違があった場合に納税者側は課税庁側からの指摘事項に関して修正申告に応じなければ、課税庁側は「更正処分」を行います。その処分に納得がいなかない場合、いきなり裁判所に訴訟の提起をするとなると全国各地で膨大なる税務訴訟が行われ混乱をきたすことからまず、国税不服審判所へ異議申立てをし、そこで国税不服審判所の税法解釈であるいわゆる「裁決」が示され、それにも納得がいかない場合にはじめて税務訴訟が提起され、その後は地裁で不服申立てとなると高裁へ控訴し、さらには最高裁へ上告し、最終的な税法解釈いわゆる「判決」が確定します。
税務上の見解の相違については過去に類似した「裁決」や「判決」の事例が集まった「裁決事例」や「判例・裁判例」を反論根拠としますが、その中でも最終的なジャッジである最高裁での判決が最も強い反論力があります。
課税庁側と納税者側の見解の相違におけるせめぎ合いも最高裁での判例を持ち出された時点で勝負ありなのです。これら判例や裁決事例は法律として明記されていなが「法」として事実上納税者を拘束することができる、いわゆる「不文法」であり税務の実務においては法と同様の拘束力があります。当然のことながら、もし最高裁で納税者側の主張が勝った場合すぐに国税庁通達が変わるといったこともよくあり、最近では財産評価基本通達の一部が改正となった最高裁の判決などは記憶に新しいところです。
ただし、税務訴訟において納税者側の勝利する確率は低く敗北後の延滞税等の追徴課税を考えるとどこかで「落としどころ」を模索していかなければならないのも事実なのかもしれません。本来は税務判断における見解の相違も修正申告に応じるかそうでないかも、そこまで考慮てから判断すべきなのでしょう。
埼玉本部 菅 琢嗣
2017,05,31, Wednesday
よく税務における会話で「今度税法が変わりまして・・・」とか「税法ではこの様に解釈しておりまして・・・」などと言ったりしますが、実のところそれは「税法」が変わったのでなくて「通達」が変わったにもかかわらず、そのような表現をしてしまっていることが多いのではないでしょうか。(私自身も身に覚えがあります・・・)
「通達」とは、国税で言うところの国税庁長官が国税局や税務署及びその職員に対して法令の解釈や実務運営指針を伝える文書のことを言い、法令と違い国民(納税者)を拘束するものではありません。
ただし、これらは課税庁側の勝手な論理において決められたものではなく、過去における判例や裁決などをもとに税法の専門家などが協議立案し国会の審議を踏まえ全国統一で一律の見解が示されたものなのです。
そのようなことから税の実務においてもあたかも法令と同様であるかのように扱われているのもまた事実なのかも知れません。
それでは、通達に従った解釈がすべて正しいかというとそうとも限らず、例えば財産評価基本通達における時価評価に関しても昨今、金融機関等主導と思しき租税回避スキームが横行しており、確かに通達を形式的、機械的に解釈するならばその通りなのかもしれないものであっても、課税庁側はその行為があまりにもあからさまに租税回避行為と疑われる事案については、「財産評価基本通達第1章総則6項この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」いわゆる「総則6項」を適用して通達とは別の評価額をもって否認することもあります。
また納税者側の立場で通達に従った解釈をすることが本来あるべき「時価」とかけ離れた評価なのではと疑われるいわゆる「通達評価がなじまない事案」については、鑑定評価等の方法をもって本来あるべき「時価」を立証していくことも必要なのでしょう。
このように通達は法令ではありませんが、我々が税務判断を行う上でかなり重要な判断基準であることは間違いないのですが、常に「通達は絶対的ではないという意識」を持ちつつ適切な解釈判断を心掛ける必要があるのではないでしょうか。
埼玉本部 菅 琢嗣
2017,05,15, Monday
国、地方公共団体や公共・公益法人等は、本来、市場経済の法則が成り立たない事業を行っていることが多く、通常は租税、補助金、会費、寄付金等の対価性のない収入を恒常的な財源としている実態があります。
このような対価性のない収入によって賄われる課税仕入れ等は、課税売上げのコストを構成しない、いわば最終消費者的な性格を持つものと考えられます。
また、消費税法における仕入税額控除制度は、税の累積を排除するためのものですから、対価性のない収入を原資とする課税仕入れ等に係る税額を課税売上げに係る消費税の額から控除することは合理性がありません。
そこで、国、地方公共団体や公共・公益法人等については、通常の方法により計算される仕入控除税額について調整を行い、補助金等の対価性のない収入(特定収入)により賄われる課税仕入れ等に係る税額について、仕入税額控除の対象から除外することとされています。
特例計算の対象となる事業者は、次のとおりです。
① 国の特別会計
② 地方公共団体の特別会計
③ 消費税法別表第三に掲げる法人
④ 人格のない社団等
ただし、次に掲げる場合には、仕入控除税額の調整を行う必要はありません。
① その課税期間の仕入控除税額を簡易課税制度を適用して計算する場合
② その課税期間における特定収入割合が5%以下である場合
ここで、特定収入割合とは、その課税期間における資産の譲渡等の対価の額(税抜き)の合計額にその課税期間の特定収入の額の合計額を加算した金額のうちにその特定収入の額の合計額を占める割合をいいます。
仕入控除税額の調整を行う必要がある場合、原則的な方法により計算される課税仕入れ等の税額の合計額から特定収入に係る課税仕入れ等の額を控除した後の金額を仕入控除税額とします。
このように、国、地方公共団体や公共・公益法人等については、その他の民間企業等と異なる仕入控除税額の計算が必要となる場合があるため、注意する必要があります。
東京本部 小林
2017,05,01, Monday
借地権の認定課税を受けない方法としては、次の方法があるか思います。
Ⅰ相当の地代(固定方式・改定方式)
Ⅱ無償返還方式
Ⅱの「無償返還方式」とは、文字通り「土地の使用後は、土地をタダで返す。」という契約方法です。
何点か注意すべき点があり、列挙しますと、
①契約において、当事者の一方が法人であること
②期限までに税務署に届出書を提出すること
③契約書に「無償で返す」旨を記載すること
④地代を安くしすぎないこと 等
税務署は、土地の貸し借りついて権利金を支払わないでした場合、借主は貸主から借地権を贈与されたものとみなします。(これが「借地権の認定課税」と呼ばれるものです。)
でも、「相当の地代」を払っているならば、権利設定による利益はないものとして、課税しませんよ、としています。(法人税法)
しかし、「相当の地代」とは、簡単にいうと「土地の価格×6%」、100%÷6%=16.66・・→16年強で、その土地そのものが買えてしまう高額な地代です。
社長が持っている土地を自分の会社に貸し、権利金や高額の地代を払うのはおかしい!という意見が多くあり、昭和55年に「土地の無償返還に関する届出書」制度が制定されました。
将来、土地をタダで返しますと税務署に届け出れば、借地権の認定課税はしせんよ、という制度です。
順次、注意点を見ていきたいと思います。
① 契約において、当事者の一方が法人であること
無償返還制度は、法人税法で定められている為、契約当事者の一方又は両方が法人でないとこの届出書の提出はできません。
②期限までに税務署に届出書を提出すること
一定の届出書に一定事項を記載して、賃貸借契約書・土地の評価明細等を添付して税務署に提出します。
その際、”借地権の設定or使用貸借契約”を選択する部分がありますので、”借地権の設定”に○をつけ、賃貸借契約により土地の貸し借りをしています!ということを示します。これにより貸主に相続が生じた場合、8割評価や小規模宅地等の特例の使うことが可能となります。
ところで「期限」とは?
通達上は「遅滞なく」となっていますが、専門書の解説などには原則「賃貸借契約を結んだ法人の確定申告書の提出期限まで」となっていますので、その日までには提出。
③契約書に「無償で返す」旨を記載すること
賃貸借契約の一種ですから、契約書を作り、「無償で返す」旨を記載します。
無償返還方式は
「貸すとき権利金をとりませんので、返すときもタダで!」という契約ですので、契約書にもその旨をきちんと書きます。
(例)
第○○条 (無償返還について)
土地賃貸借契約を解除する際は、借主は貸主に対し、何らの対価を求めず、本土地を無償にて返還するものとする。
④地代を安くしすぎないこと
無償返還方式だと、地代は自由に決めることができます。(極論0円でもOK)
しかし、0円又は安すぎると相続が発生したとき、土地の評価が高くなってしまいます。(使用貸借となって、自用地評価となります。)
ですから、一般的には
「固定資産税×2~3倍」といわれています。
(地代の認定という問題がありますが、ここではその説明は、省略させていただきます。)
これらの注意点を踏まえ、無償返還方式を採用すれば、権利金や「相当の地代」のような高額の地代を支払わず「借地権の認定課税」を避け、かつ、貸主に相続が発生した場合、その土地については80%評価や小規模宅地等の特例(50%減or80%減)を適用することが可能となります。
東京尾本部 根生
2017,03,31, Friday
不動産を売却した場合、利益に対して譲渡所得が課税されます。一般的には、20%(所得税15%、住民税5%)となり、先祖代々から保有している土地などの場合、かなりの税金が課税されることになります。
最近、空き家問題が注目されていますが、税制面でもこの空き家問題を解消する策が講じられました。相続等により被相続人居住用家屋及びその敷地を取得した個人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間にその取得した家屋及びその敷地を売却した場合には、利益から3,000万円を控除することができるようになりました。
要件は以下の通りです。
① 相続開始以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
② 売却価額が1億円以下であること。
③ 被相続人が1人で住んでいた家屋及びその敷地であること。(マンション等を除く)
④ 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
⑤ 相続開始後、事業用、貸付用、居住用に供されていないこと。
⑥ 譲渡の時において耐震基準に適合する家屋であること又は家屋の全部を取り壊してから譲渡していること。
簡単に言うと、1軒家に一人で住んでいた方が亡くなり、空き家のまま約3年以内に売却した場合、要件に合致すれば譲渡利益から3,000万円を控除してくれます。ここで気をつけなければならないのは、耐震基準に適合していない家屋の場合は、売ってから相手方が取り壊すのではなく、売る前に売る側が取り壊すことがポイントです。これを間違えると、要件を満たさなくなるため、注意が必要です。 相続が開始する前からのちのちどうするかを考えておくことが重要です。
税理士法人 優和 京都本部
中村 真紀
2017,03,15, Wednesday
-耐震基準適合証明書が必要な場合-
Point:中古物件を購入し、住宅ローン控除を受けたいと考えている方は、購入前から住宅ローン控除を受けるための計画が必要と考えられる。
本日は確定申告の最終日ですが、年末調整から、確定申告にかけて住宅ローン控除の恩恵を受けられた方も多々いることでしょう。
中には中古物件を購入した方もいると思います。
しかし、この中古物件による住宅ローン控除を受けるためには次のような要件があります。
①耐火建築物(コンクリート造)→築25年以内
②非耐火建築物(木造)→築20年以内
③①②の年数を超えた場合の物件が耐震基準に適合すること
ここで、気を付けたいのが、③の要件です。
なぜなら、耐震基準に適合する物件であるか否かは中古住宅を売主から引き渡される以前に、売主名義の耐震基準適合証明書を得る必要があるからです。
そのため、確定申告時期になって必要な書類を揃えるときに、この売主名義の耐震基準適合証明書がなければ、住宅ローン控除を受けることができません。
もっとも、引き渡し以前に、耐震基準適合証明書の仮申請書を得ることで、引き渡し後の修繕等で耐震基準適合証明書を得ることができますが、それでも引き渡し以前に申請をする必要があります。
このように、耐震基準適合証明書は、銀行から住宅ローンの残高証明書をもらうように、確定申告時期になって得られるものではないのです。
以上から、これから、中古物件を購入し、年末調整や確定申告で住宅ローン控除を受けようと考えている方で、耐震基準の要件を満たす必要がある場合には、住宅の契約前から計画的に行動する必要があると考えられます。
茨城本部 大河原
2017,03,01, Wednesday
早いもので今年も3月に入り、確定申告でてんやわんやな時期になってきました。さて、今回は確定申告においての重要論点である医療費控除について記載したいと思います。
医療費控除とは、自分や配偶者・親族のために医療費を支払った場合に支払金額に応じて納付すべき税金の額を軽減してくれる制度です。
但し、親族のための医療費支払いについては生計を一にしている必要があります。
また、医療費控除を受けるには確定申告が必要となります。
医療費の範囲は大きく八項目あるのですが、全て列挙すると長くなってしまいますので、例示させて頂きます。迷った際は顧問税理士等にお問い合わせください。
① 医師・歯科医師による診療対価⇒〇
但し、健康診断の費用・診断書の費用・差額ベッド代⇒×
② 治療に必要な医薬品の購入費⇒〇
風邪薬は〇、ビタミン剤や美容目的のものは×
③ 交通費(電車・タクシー等)⇒〇
但し、本人分のみ(付添人の交通費は×)
④ あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師による施術料⇒〇
但し、疲れを癒す等の目的だと×
上記の施術に関しては、神経痛や腰痛を治療する目的であることが必要です。
医療費控除の趣旨としては、多額の医療費を支出した人は担税力が減ることになるので、その分だけ税額を減額するべきという点にあります。
該当する場合には、適正に申告し過大に税額を負担することがないよう留意しましょう。またセルフメディケーション税制が平成29年1月1日より開始されています。今後は両制度を比較して有利な税制を適用することになります。
では、花粉症が辛い・大変辛い時期になって参りましたが皆さまも御身体を大切にしてください。
本ブログがお読みいただいた方の参考に少しでもなれば嬉しいです。
茨城本部
楢原 英治
2016,12,28, Wednesday
専業主婦世帯などの所得税負担を軽くする「配偶者控除」制度の見直しをめぐり、政府が配偶者の年収制限を「150万円以下」に引き上げることなどを盛り込む方針を固めました。2017年度税制改正大綱に方針を盛り込み、年明けの通常国会に法律改正案を提出する予定です。
政府の方針では、配偶者の年収の制限は、現在の「103万円以下」から「150万円以下」に引き上げ(減税)、その一方で、世帯主の年収が1120万円を超えると控除額を段階的に減らし、1220万円で対象外とする模様(増税)。
配偶者控除をめぐっては、専業主婦世帯を念頭においており、夫婦の働き方が多様化した現代にそぐわないといった批判があったため、制度を廃止して、夫婦であれば働き方に関係なく適用する「夫婦控除」の導入が検討されていましたが、結局導入は見送られました。共働きの世帯が多くなり、配偶者控除は「103万円の壁」と言われ、女性の就業意欲を下げ、また専業主婦への過度な優遇であると批判されてもいました。
個人的には、「103万円の壁」が「150万円の壁」になっただけでは、主婦の就業促進や専業主婦の過度な優遇という考え方の根本的な解決にはならないと思います。
配偶者控除の基準が見直されたとしても、会社独自の配偶者手当の廃止や基準見直しがされなければ、女性の就業意欲の引き上げ効果は限定的にとどまるのではないかと思います。(この他にも、年金や健康保険の社会保険料の支払いが義務付けられる『130万円の壁』も存在していますし。)
就業形態による不公平感を減らすために、各家庭が考慮された家族控除等が新設されることを望みます。
東京本部 根生 隆行
2016,11,15, Tuesday
(1)制度の内容
雇用者への給与等の支給額を一定割合以上増加させる等の要件を満たした場合、その増加額の10%を法人税額から控除できます(税額の10%(中小企業者等は20%)が上限)。
従業員数を多く抱えている企業では、人件費の比重が高いことが想定できます。そのため、毎年、従業員の昇給等がある企業では、給与等の増加額のうち10%(税額の10%(中小企業者等は20%)が上限)の税額控除は、節税のみならず、企業の資金繰り等を考慮しても、影響の大きいものではないでしょうか。
(2)適用要件:次の①~③を全て満たすこと
①雇用者給与等増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が増加促進割合以上になっていること
この要件について、法人税の改正により、平成28年度では基準年度の4%以上(中小企業者等では3%以上)に、平成29年度では基準年度の5%以上(中小企業者等では3%以上)になっていることが必要となります。
②雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額(前事業年度)以上であること
③平均給与等支給額が比較平均給与等支給額(前事業年度)を超えること
実務上、①②の計算は比較的容易に算出することができると考えられますが、③の計算は少々複雑になっていると思います。
なぜなら、③の計算は①②の計算以外にも、前事業年度と適用年度の従業員の比較等も必要になるからです。
例えば、前年度に在籍していた従業員が適用年度には全く在籍していなかった場合には、前事業年度の平均給与等支給額からも控除することになります。このように、ある従業員は比較の対象になるけれど、ある従業員は比較から対象外になるなど判別が必要になるので、従業員数が過度に多くなった場合には実務上計算が煩雑になるのではないかと考えられます。
最後に、雇用拡大促進税制は、確かに計算が煩雑になる部分もあると考えられます。しかし、毎期昇給等がある企業では、節税による恩恵は大きいものと考えられます。
そのため、企業は決算期に近づいたとき、適用要件を満たしているかを仮計算し、要件に満たしていなかったならば、あといくら金額を増加させれば満たすのかを予測し、必要ならば決算賞与で調整することも検討してみては如何でしょうか。
場合によっては、従業員に対する決算賞与よりも税額控除による節税効果の方が大きいことも有ると考えられます。
そのようなことになれば、従業員のモチベーションも増加し、節税効果も得られるという一石二鳥の成果が得られるかもしれません。
茨城本部 大河原 章憲
2016,11,01, Tuesday
国外転出をする時に、1億円以上の有価証券等を所有等している場合は、所得税の確定申告等の手続きが必要となります(平成27年7月1日以降)
制度が設けられた背景には、株式などの譲渡益について非課税となる国があり、そのようなタックスヘイブンにて株式の譲渡をすることで譲渡益課税を不当に逃れることが出来るためです。
これを防ぐために、日本から転出した時点で株式などを譲渡したとみなして課税するようです。実際に譲渡した訳でもなく、担税力もないのに強引に感じますね。。。
◎対象者について
所有している対象資産の価額の合計額が1億円以上であり、かつ、国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有している者です。
◎対象資産について
有価証券、匿名組合出資持分、未決済信用取引等、未決済デリバティブ等です。
◎納税猶予の規定について
国外転出の時までに納税管理人の届出を行い、かつ担保の提供をした場合には、国外転出の日から5年を経過する日まで納税が猶予されます。
納税猶予の期限は、納税猶予期限内に、延長の届出書を提出することにより、国外転出の日から10年以内に延長することができます。
但し、納税猶予期間中は、毎年3月15日までに継続適用届出書を提出しなければなりません。
最近のメディア報道を見る限り、上記を含めて超富裕層への課税強化を積極的に行っていく方針のようです。
茨城本部 楢原 英治