一般法人法が適用される一般社団法人等においては注意が必要となります。
改正の主な内容は、以下の三点です。
① 外部役員等の概念の廃止及び非業務執行理事等の概念の導入
② 責任の一部免除の拡大及び責任限定契約対象者の拡大
③ 監事の会計監査人の選定・解任等の権限の拡大
① 外部役員等の概念が廃止され、非業務執行理事等の概念が導入されました。
従来は外部理事(現在及び過去において、当該一般社団法人又はその子法人の業務執行理事又は使用人となったことがない理事)、外部監事(過去に当該一般社団法人又はその子法人の理事又は使用人となったことがない監事)、又は会計監査人を外部役員等としていましたが、改正法においてその概念が廃止され、新たに非業務執行理事等の概念が導入されました。ここで、非業務執行理事等とは、理事(業務執行理事又は当該一般社団法人の使用人でないものに限る。)、監事又は会計監査人をいいます。非業務執行理事等は、従来の外部役員等を包含する広い概念となっています。
②上記①の非業務執行理事等の概念の導入に伴い、従前の外部理事以外の理事であって業務執行を行っていない者については、責任の一部免除(一般法人法113条1項)が拡大(最低責任限度額が減少)しています。
また、非業務執行理事等であれば、責任限定契約の対象となることとなり(一般法人法115条)、従前の外部理事等の概念と比べると、責任免除の対象者が広がりました。
③会計監査人の選定・解任等については、従来は理事が議案を社員総会に提出する場合等において、監事の同意を必要としていましたが、改正法では選定・解任等の議案の内容の決定権限そのものが監事のものとなりました(一般法人法73条)。
今回の改正に伴い、一般法人法115条に基づき定款において責任限定契約に関する規定を設けている法人において、定款変更が必要となるのかが実務上の問題となっています。
この点、今後も従来の外部役員等に限定して責任限定契約を締結するという法人においては、定款変更の必要はないと考えられています。すなわち、改正法では、従来の外部役員等を含む広い概念である非業務執行理事等との間で責任限定契約を締結することができますが、今後も従来の外部役員等の概念に当てはまる者としか責任限定契約を結ばないという場合には定款変更の必要はないと考えられています。逆に、責任限定契約を締結する対象を非業務執行理事等に広げたい場合には定款変更が必要であると考えられています。
今回の改正による定款変更の要否は法人ごとに異なるため、各法人において検討する必要があります。
東京本部 小林 歩
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