- 適正な月次損益の把握 ―
会社の成長には商品力が欠かせないという話を以前にしましたが、税理士事務所にとっての商品力とは何でしょう。商品のひとつとして決算書があります。決算書は作る者によって結構変わるものです。作る側が誰に向けて作成しているのかでも変わります。本来、お客様や株主に向けて作成するのですが、税務署向けに作成している税理士事務所も少なくはありません。ケースバイケースで考え方は変わるものの、せめて試算表くらいはお客様に向けて作成すべきではないでしょうか。お客様にとって適正な損益を把握できる試算表のことをここで「月次決算書」と呼ぶことにします。イメージとしてはいわゆる決算書に近い数字ものを毎月作成するようなものです。違う言い方をすれば、精密度の高い月次試算表です。
月次決算書と言えば大そうなものに聞こえますが、いわゆる決算書ほど精密である必要はありません。当月の適正な期間損益把握が大まかに行うことが出来れば充分です。では具体的にどのようにすればよいのでしょうか。大きくは以下の通りです。
☆ 発生主義で計上する。
☆ 在庫を計上する。
☆ 引当金の計上を行う。
☆ 税抜き経理を行う。
☆ 減価償却費を計上する。
☆ 仮勘定を使わない。
☆ 税金の未払計上を行う。
【 発生主義で計上する 】
売上、仕入、経費について当月に発生したものを売掛金、買掛金、未払費用等で計上します。入金や支払いがあったときに損益を認識されている場合は、決算で大きく数字が変わってくることがあるため注意してください。月次決算では手間も考慮して、少額なものは計上しなくても問題がありません。
【 在庫を計上する 】
概算でもよいので、毎月在庫を計算します。例えば月末近くに100万円の仕入を行い売上は翌月となった場合、100万円の在庫を計上しなければ、当月の損益は100万円違ってきます。会社の規模により一定の基準を設けて実施すればスムーズに行えるでしょう。
【 引当金の計上を行う 】
賞与引当金、退職給与引当金、その他大きな支出が予想されるものを毎月引き当て計上します。年に1度だけ賞与を支払うような会社であれば、賞与の支払い月だけが大きく経費が増えてしまいます。しかし賞与の支給は1年を通して徐々に発生していきますから、本来賞与の支給月以前にも経費負担が発生しているため概算で計上します。税務上認められないから計上しないというのは、税務署に向けて仕事をしているようなものです。
【 税抜経理を行う 】
税込み経理を行っていると、月々は消費税の納税分だけ利益が多く計上されてしまい、決算で消費税の納税分だけ損益が変わることになります。どうしても税込み経理が良い場合は、納税分だけ経費を見積もり計上しましょう。
【 減価償却費を計上する 】
当期の減価償却費がどれだけあるということを認識されている経営者の方は、実際多くないのが実情です。ということは、減価償却費分だけ経営者の方が思われている利益と決算書の利益に差が生じてしまいます。減価償却費も考慮して損益を把握しましょう。
【 仮勘定を使わない 】
期中に問題があるような場合、とりあえず仮勘定(仮払金、立替金、仮受金など)で処理する場合があります。精算予定があるときは別として、出来る限り早い段階(原則として翌月)で問題解決を行いましょう。
【 税金の未払計上を行う 】
会社の利益は、税金を払ったあとの金額です。月次決算を行うことにより現段階でどのくらいの納税が発生するということが把握できます。 それを未払計上することにより本当の損益の把握が可能となります。
以上7つの点について簡単に説明させていただきましたが、御社ではいくつ実施されていますか? 「そのようなことは当たり前にできている。」という経営者の方には申し訳ない話でしたが、もし興味を持っていただいた方は、是非、当税理士法人優和の担当者にご相談下さい。思っているほど手間は掛からないにも関わらず、大きな効果が期待できることでしょう。
京都本部 中村
記事のカテゴリ:その他