取引相場のない株式、いわゆる非上場株式の評価の方法のひとつに類似業種比準方式というものがあり今回の改正でこの類似業種比準方式について
(イ) 類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える
(ロ) 類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとする
(ハ) 配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について1:1:1とする
といった改正が行われることとなりました。
(イ)については現行の株価決定の方法に納税者選択のオプションが一つ加わったということなのでどの納税者にとって有利な改正となりそうです。
(ロ)については有利にも不利にもなる感じがして何とも言えないところでしょうか・・・。
(ハ)についてはそもそも取引相場のない株式に値段をつけるという行為自体その時価の根拠はとても乏しいものなのでしょうが、あえてその根拠を見出すとすれば配当金額、利益金額、簿価純資産価額が株価構成に最も影響を与えるということで通達ではこれらを1:1:1(いわゆる3要素が同等)の比重で評価しましたが平成12年の通達改正以降これらの比重が1:3:1に変更となり、要するに株価形成の要素のうち収益力が配当や純資産よりも強く影響していたということです。
だが、「昨今の上場会社のデータに基づき検証作業等をした結果」改正前の1:1:1の比重に戻すとのことらしいです。
株価形成の要素は、もう一度じっくり調べてみたら最近は大体同じくらいの比重だったということらしいですが、個人的には上場株式の株価浮沈の影響を最も受けるのは会社の業績であり、その次に配当性向といったところだと思っているので(昨今では某国大統領の一挙手一投足が異常に影響したりしておりますが・・・)一体どのようなデータに基づきどのような検証作業を行ったのか知りたいところですが、株価評価が必要そうな非上場の会社のオーナー社長にとっては概ね有利な改正なので「よし」ということなのでしょう。
埼玉本部 菅 琢嗣
記事のカテゴリ:資金繰りについて