(1) 公社債等の利子所得及び譲渡所得等の改正
国債、地方債、外国国債、外国地方債等の利子所得について源泉分離課税から申告分離課税へ課税方式が変わります。
更に上記国債等は、譲渡所得については非課税でしたが、改正後は20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税となります。
(このようなことから最近、証券会社等で今年中に国債を償還して、来年からはNISAで再度国債を購入しましょうなどという案内が出されているようです。)
(2) 上場株式等の譲渡損失及び配当所得の損益通算並びに繰り越し控除の改正
上場株式等の譲渡損失及び配当所得等の損益通算の特例の対象範囲に上記の利子所得等及び譲渡所得等が加わります。
ここで大きく影響を受けそうなものが、外国国債等で格付けの高い安全な金融商品で運用がなされている外貨建MMF(マネー・マーケット・ファンド)でしょう。(MRF(マネー・リザーブ・ファンド)と間違えやすいのでご注意ください)ここ数年の為替の変動により外貨建MMFを保有されている方の中には多額の含み損益を発生されているのではないでしょうか。
含み損が出ている方は、今年中の売却は絶対に避けるべきでしょう。というのも今年中の売買については損が出ても非課税で他の譲渡所得とも損益通算できませんので、来年以降損益通算が可能になってからの売却をお勧めします。厄介なのが含み益のある方でしょう。
今年中に売却すれば含み益は非課税で来年以降は、20%の課税となりますので、確かに今年中に売却すれば税金はかかりませんが、今後何かのきっかけで大幅な円安になる可能性もありますし、この先の為替の動向を注視しながら検討する必要がありそうです。(個人的には今年中に一旦利益を確定し、場合によっては来期以降に再度トライすることをお勧めしますが・・・)
(3) 株式等に係る譲渡所得等分離課税の改正
これまでは、一般株式等(非上場株式などがこれに該当します)と上場株式等の損益通算が可能でしたが、今回の改正で来年より一般株式等と上場株式等が分離課税の中でさらに分離されて別のカテゴリーとなり、非上場株式と上場株式の損益通算ができなくなります。
もしすでに今年に入って非上場株式の譲渡があり、そのほかに上場株を保有されているのならば、損得ともに損益通算できる最後のチャンスです。
以上、今年も早いもので残り2か月余りですが、そろそろ「ファイナルアンサー」ですね。
埼玉本部 菅 琢嗣
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