(1) 区分経理が必要。
NPO法第5条においては「その他の事業に関する会計は、当該特定非営利活動法人の行う特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない」とあることから、特定非営利活動に係る事業とその他の事業の区分経理が求められている。ただし、実務的に貸借対照表を区分経理することは困難と考えられることから、貸借対照表は区分経理せず、活動計算書のみを区分経理することも認められている。なお、法人税法施行令6条においては、法人税法上の収益事業と非収益事業との区分経理が求められている。この点、NPO法上の特定非営利活動に係る事業と法人税法上の非収益事業が必ずしも一致するものではなく、また、NPO法上のその他の事業と法人税法上の収益事業が必ずしも一致するものではない。ゆえに、決算時に、法人税法上の区分に再集計して、税務上の活動計算書を作成することが必要となる。
(2) 事業費・管理費の区分。活動計算書の内訳表示。共通経費の按分。
会計基準14においては、事業費と管理費に区分して表示することを規定している。そして、注解1-4においては形態別に把握して表示することとなっている。このことは、従来○○事業費というように、様々な種類の費用が混入していたため、明瞭性が乏しかったがそれを改善するものである。反面、各事業の費用がいくらかが明らかにならないため、内訳表示をすることが認められている。また、内訳表示をせずに、注記で示すこともできる。なお共通経費の按分については、従事割合・使用割合・建物面積比・職員数比など合理的な按分基準を用いる必要がある。また、事務処理の簡便化・明瞭性の追及の観点から、貸借対照表の内訳表は求められておらず、法人の任意で作成できるが、その他事業に固有の賅産で重要なものがある場合には、その賅産状況を注記として記載することとしている。
(3) 使途等が制約された寄付金等の扱い。
寄付者等の意思により受入資産の使途等に制約が課されている場合には原則として、受け取った年度に収益計上し、使途ごとに寄付金等の期首残高、増加額、減少額、期末残高を注記することになる。なお、重要性が高い場合には、公益法人会計基準に沿って、指定正味財産の区分に計上し、制約解除された場合には当該金額を一般正味財産に振り替えることとなる。
(4) 助成金・補助金等の取扱い
返還義務のある助成金・補助金等については、当期受入額を収益として計上し、未使用額については前受けとして振り替える。この場合には注記に当期受入額を当期増加額に記載し、使用分を当期減少額に記載し、前受け額を期末残高に記載する。また、後払いの場合には、未収計上し、その旨注記することとなる。なお、返還義務のない助成金・補助金等については、(3) 使途等が制約された寄付金等の扱いに準ずることとなる。
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